2006年8月 5日 (土)

「博士の愛した数式」を観て

本作はレンタルビデオで観ました。
映像を見る前に原作を読んでいました。
原作は大変おもしろかったです。
ごく普通の家政婦からみた一風変わっていて
ちょっととっつきにくい、というかそもそも記憶に
障害があるのだから仕方ないですが、そういった
数学者とのはじめはぎこちなかった付き合いが
徐々に打ち解けあい、子供のルートがある種の
絆となってついには「友人」関係まで築いてしまう。
その絆のスパイスに数学の定理や公式や数式が
ちりばめられていて、絶妙に連携がとれている。
本当に心温まる作品でした。

さて、映画の本作。
配役は僕の小説を読んだキャラクターのほぼイメージに
ぴったりでした。家政婦の深津絵里、教授の寺尾聡、
これははまり役だとおもいました。
しかし、教授のほほえましいキャラクターを示すエピソードが
かなり削られていることが非常にもったいなかった。
たとえば選手カードへのこだわり。教授の誕生日プレゼントは
苦心して買い求めた江夏のレアカードだったのに、
映画ではあっさりとスタジアムジャンパーに変わってる。
球場への野球観戦はルートの所属する少年野球の試合。
原作の阪神戦でのエピソード、特に球場の売り子に
ひそやかな恋心を抱くところは僕は大好きだった。
それとか言葉を瞬時にして逆さまに並べ替えることができる
特技を自分の都合の悪いときに披露することとか、すっかり
カットされてる。
ルートが成人した姿である吉岡を出して数式の解説をするっていうのも
アイデアとしてはよかったけど、もっと博士のキャラクターに
焦点を当ててほしかった。
監督の小泉堯史の「雨あがる」や「阿弥陀堂だより」はすごく
しっとりした空気が漂ういい作品で好きだったのだが、
この作品はちょっと小粒すぎたな。「阿弥陀堂だより」も
原作を読んでしまうと、がっかりするんだろうか。
本作品の評価★★★☆☆

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2006年7月30日 (日)

「ゲド戦記」を観て

今日は宮崎吾朗監督作品の「ゲド戦記」を観ました。
スタジオジプリの作品は期待感が大きいだけに、しかも
過去に素晴らしい作品が多かっただけに辛い点になり
がちです。「耳をすませば」、「魔女の宅急便」、
「風の谷のナウシカ」、「となりのトトロ」、そして「千と
千尋の神隠し」などは僕の映画ランクの中でも高いところに
ランク付けされています。

そして、今作は、これらの作品に肩を並べるくらいの
クォリティの高い作品だったと思いました。
「人は生きているのでなくて、生かされている。
そして死を恐れるからこそ今、大切にしなければ
ならないものを守り続ける」という悲しいニュースが
続く現在に、最も必要なメッセージが
作品を貫いていました。
生きることにまったく価値を失ってしまい、自分のもう
一つの影におびえる「親殺し」のアレンとその彼を
父親のような暖かさで見守る大賢人ゲド。ゲドは
あくまでも見守る役割を逸脱せず、アレン自身が
ことのあるべきところを悟って成長する姿が胸を
熱くさせます。岡田准一の声も最初のころのアレンの
根暗な感じとよくあっていました。「ハウルの動く城」の
キムタクより百倍よかった。
そして主題歌。この映画の宣伝は余計なメッセージは
なく、ひたすら主題歌がバックに流れるという手法で
主題歌の童謡チックなメロディーを脳裏に焼き付ける
という戦法をとっています。この主題歌が本編では
アカペラでしっとりと歌われるシーンは本当に涙が
出そうになりました。せつなく、つらく、それでいて
自然につつまれた優しさをも感じさせる名シーンだと
思います。
僕らの席の後方で四人家族が見ていました。小3年生
くらいの男の子と1年生くらいの女の子の兄弟でしたが、
果たして彼らがこの話をどれだけ分かるのかなって思って
たけど、映画が終わった直後、彼らが一言、「面白かったね」って
感想を述べていました。年齢を超えて通じるものがあるんです、
この作品には。
今回の評価 ★★★★★(満点つけます)

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2006年7月19日 (水)

「MI Ⅲ」を観て

先日、観て来ました。
これまでのこのシリーズはビデオで済ませてきましたが、
かみさんがこれまで毎回映画館で見ているというので、
僕も今回は映画館で初めて観ました。
こういうアクションものはやっぱり映画館の大きなスクリーンで
大音響で観るのがいいですね。

単なるどんどんぱちぱちのアクションものではなく、
人間臭さを織り交ぜたストーリーでした。
冒頭でいきなり恋人が撃たれそうになるときに
涙を流すとは、敏腕のスパイにあるまじき姿(笑)
でも、なんとなくつじつまが合わないというかつながりが
よく理解できないところも多かった。
悪役のディビアンは軍隊並みの組織を抱えていながら、
上海では結構守りが手薄なところに潜伏してたとか。
最後の悪党だった上官は、リンジーがイーサンに残した
メッセージをやたら知りたがっていたがその理由が
分からないとか。
まあ、こういうジャンルは理屈抜きってことが大事なのかな。
評価は★★★☆☆

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2006年6月28日 (水)

氷点がまたまたドラマ化

三浦綾子原作の「氷点」がまたまたドラマ化されるそうです。
しかもなぜかドラマ化が多い、テレビ朝日系列。
この系列のドラマ化はなんと5回目。よっぽどこの素材が
すきなのだろうか。最も最近は「氷点2001」と題して
5年前に夏枝役を浅野ゆうこ、陽子役を末永遥という
キャスティングでやりました。実際、僕は小説は「続・氷点」も
含めて読んだけど、映像化されたものはいままで見たことが
ありません。小説は当時、ベストセラーになっただけあって、
人間ドラマにあふれ、かつ重いテーマを投げかけていて
とてもおもしろい。作者がキリスト教を信奉していることが
背景のテーマ設定なので若干、ピンとこないところもあるけど。
さて、今回は夏枝に飯島直子、陽子に石原さとみだそうな。

話はちょっとずれるけど、桐野夏生の「柔らかな頬」という
小説、これもメインの舞台は北海道ですが、この主人公である
カスミ役の僕のイメージは飯島直子でした。本人のこれまでの
キャラクターから、こういうシリアスなドラマ向けではないかな、と
思っていたら、今回はシリアスなドラマに挑戦です。でも、彼女が
夏枝役をやったら、本当に単なる意地悪な継母役に徹せられて
しまいそう。はてさて、今回はどのような切り口でドラマ化されるのか。
ある人によれば、これまでの映像化は66年の初代ドラマを
超えていない、という評価もあるのですが。

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2006年6月25日 (日)

「ダビンチコード」を観て

ようやくこの映画を観ました。
原作を読んで、ご他聞にもれずはまりました。視点の斬新さ、
フィクションがあたかも新説を提示し、今までの見方が
古い常識に囚われていたかのように思わせる妙な
説得力。これは筆者ダン・ブラウンの展開構成力の
うまさだと思います。でも、冷静に考えてみるとこじつけの
ところもいくつかある。「最後の晩餐」に女性が描かれている?
ほとんど根拠なし。ダビンチは確かにシオン修道会の
総長だったかも知れないが、それを絵画のメッセージに
こめたというのはあくまで後付け解釈。
宗教にまつわる逸話なんて、どれをとっても嘘っぱちだと
いえばそうともとれる話がたくさんあって、どれが真実か、
真実なんて実はほとんどなかったのかも知れない。
だけど、それを言っちゃあおしまいよみたいなところがあって、
信じるなら、そこに神は宿る、というのが宗教って
ものではないでしょうか。神秘をあえて暴くのは興味本位と
してだけみればおもしろいけどね。だからキリスト教に
あまりなじみのない日本人などはかえって興味がそそられる
かも。だけど、欧米人独特の価値観や感覚がたくさん
ちりばめられているのでそこのところはなかなかピンと
くるものがなかったのが少し歯がゆかったです。

さて、映画ですが、原作をなるべく映像化しようとする意図は
すごく分かりました。それなりにまとまっていると思います。
ソフィー役のオドレィ・トトゥは結構、イメージ通りだと思います。
「アメリ」の不思議ちゃんとはまったく違った役どころをしっかり
演じてます。でも、年をとったなあって印象は受けました。
ラングドンのトム・ハンクスは、ちょっとおやじ過ぎ。もっと
スマートな印象がもてる俳優のほうがイメージ近かった。
ハンクスではハリソン・フォードからはかなり遠い。
警部役のジャンレノは、そもそも警部のキャラクター設定が
ちょっとあいまいで最後までなんとなく謎めいていて
ジャンレノのよさが生かされていなかったような気がします。
ティービングはちょっともうろく親父って感じで快活さや
貴族らしい優雅さが欠けていた。
全体的にストーリーを追うのが精一杯で、謎解きやプロットが
生かされる面白さまでは描ききれていなかったと思います。
そもそも重要なプロットがないまま進行したところもあったし。
あれでは原作を読んでないと訳分からないだろうなとか。
この原作はちゃんと読むことが必要でしょう。正直、
映像化はちょっと無理があったようにも思えます。
評価は★★と半分(5点で満点)

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2006年6月11日 (日)

功名が辻:本能寺の変

今日の功名が辻はついに、本能寺の変の回でした。
先日も書いたように、山内一豊の一生を描くのであれば、
本人にとっては間接的な事件に過ぎないこのエピソードに
至るまで半年を費やすのは引っ張りすぎ。そうとはいえ、
一つの転換点にきました。
今日の描写では、僕のこれまでの大河での本能寺の変とは
違ったものがいくつか見られました。まずは明智軍と織田軍の
火縄銃による銃撃戦。よくある描写では、信長が始めは
弓で明智軍を射殺し、弓が尽きると槍で応戦というのが
パターンでした。ところが今回はひたすら銃撃戦。
玉が尽きると刀でしかも西洋式のサーベルのような
剣で応戦。これもやむなく、流れ弾にあたって奥に引き下がり
最期を遂げる信長でありました。演出としてはざん新では
ありました。
それと、違った点として、お濃が最期まで付き従ったこと。
付き従ったという記述もあったらしいのでなまじフィクションでは
ないでしょうけど、そのお濃が結構強いのはなぜ?明智軍、
弱すぎ。
今回、肝心の主人公の一豊はほとんど出番なし。ところが
明智方から毛利方への密使を偶然捕らえる一豊と五藤
吉兵衛主従。今回、登場場面が少なかったとはいえ、
これはあまりにできすぎ。歴史的事件にむりやり一豊を
絡ませるのはちょっと苦笑ものです。トピックスが分散して
しまい、いまひとつ、一豊と千代夫妻の影が薄くなりがち。
これから後半戦、まだまだ一豊夫妻の苦難は続きます。

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2006年6月 8日 (木)

チンパンニュースチャネル(CNC)

ここのところ、僕が好きな番組があります。
それはフジテレビ系で24時40分から月~木で
放映されているチンパンニュースチャネル(CNC)。
ゴメス・チェンバリンなるチンパンジーが司会をやって
人間のゲストが絡むという番組で、ゴメスの動きに
アテレコが絶妙にあっている。おそらく誰かが
ゴメスに動きを指示しているんだろうけど、
あのアテレコ、いったい、あれは誰がやってるんだろ?
ゴメスのほかにニホンザルのポールが出ているんだけど、
彼は人間に敵意むき出しで威嚇したりして、
チンパンジーに比べるとニホンザルはまだまだ
野獣って感じがします。

昨日のアンガールズとゴメスの絡みはおもしろかった。
アンガールズがコントやるんだけど、ゴメスがいつも
同じところで突っ込みいれて、結局、アンガールズは
ネタを全部やり切れずに放映時間は終了ってことで。
この番組、お勧めです。

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女子アナなる職業

今日は多少、批判される可能性もあることを書きます。

今晩、フジテレビ放映の「グータン」という番組に司会として
出ているUという元フジテレビのアナウンサーが、他のタレントと
トークしているシーンをみてました。その中であるタレントが、
「Uさんって万博とかそういうイベントには興味ないですよね」と
暴露されていました。しかし、マスコミ人としてそのような大
イベントに興味を示さないってどういう感覚をしているんだろ?と
思ってしまいました。マスコミ人こそ好奇心の塊であるべきと
いうのが僕のイメージです。バラエティでタレントにいじくられるのも
また職業といえばそうなんですが、まがりなりにもジャーナリスト
として局に採用されたのですから、そういう気概というか
プロとしてのあるべきことは何なのかということをよく考える
べきではないのか、と思ってしまいました。
まあ、そういうプロ意識が希薄だから、ある程度の年齢が
きたら、自分の旬は終わりだと悟ってさっさと結婚退職してしまう
ということなのかも知れませんが。
だいたい、今日の番組見てても、その元アナはインタビュアーとしての
役割はまったく果たせず、ほとんどゲストのようなたち位置で
出ていたし、本来はそういうキャラクターではないのだな、って
思い知りました。でも、めちゃくちゃ音痴だけどそれを臆せず
歌を歌いきってしまう恐ろしい度胸は持っているんですよね。

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2006年6月 4日 (日)

「雪に願うこと」を観て

昨日、根岸吉太郎監督作品「雪に願うこと」を観ました。
東京国際映画祭グランプリをとった作品であること、映画評で
評判がいいこと、というどっちかっていうと人に影響された
背景で観ることにしました。

率直な感想は、期待していたほどではなかったということです。
なんとなく先が読めてしまうストーリーがそうさせてしまったのか。
何が負けで何が勝利が、勝つことへ執着することが人生にとって
どれだけの意味があるのか、というのがテーマだと思うけど
そういったテーマが分かりやすく伝わってくるよさはあります。
でもこれってどちらかというと語りつくされたことだと思う。
登場する人物はみんな優しくていい人なんだけど、そのことが
この作品を優等生的なものにしてしまっている。
人々の心の綾や転換点を説明調にせず、なんとなく
伝えようという作り方はわかるけど、それがかえって
心にしみこまない。印象に残らない。
表現は何だけど、中学や小学校で映画鑑賞の授業が
あったけど、そこで上映するには最適な作品、ってところです。
教科書的な作品でした。
僕の妻がいっていたけど、共演の小泉今日子の北海道弁が
沖縄弁に聞こえて鼻についた、ということです。
評価は★★★(満点は★5つ)

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2006年5月30日 (火)

大河ドラマ「功名が辻」

大河ドラマはほぼ毎年欠かさず見ています。
中にはあまりのつまらなさに耐え切れず、挫折したものも
ありましたが。(宮本武蔵、北条時宗、琉球の風など)

今年は司馬遼太郎原作の「功名が辻」。
山内一豊とその妻の千代が主人公です。
配役は最近の大河の方向を修正して、ベテラン陣を配置
して、安定感のある演技が楽しめます。
しかし、主人公がほとんど歴史の表舞台にたたなかった
人なので、無理やり表舞台の事件と絡ませたりして、
かえって夫婦の印象が薄くなってしまっているきらいが
あります。特に千代の影が薄い。
それと、特色的なのが、信長と光秀の描き方。
大河にしては珍しく、光秀に好意的、信長に批判的な
描き方をしています。しかし、6月になってようやく本能寺の
変ですか。一豊にとってはまだまだ大きなイベントが
待ち受けているのに、本能寺の変でほぼ半分を費やして
しまうとは。後半は相当、駆け足になってしまうのでしょうか?

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